清水焼、京焼の珍しい木魚の型をした香合です。木魚（もくぎょ、杢魚とも）とは、仏具の一種で、仏壇の前に置いて読経をするときに打ち鳴らすあれです。
この斬新な意匠に思える木魚香合ですが明時代に中国で焼かれた木魚の香合があり、それを金襴手で京焼陶工が模したものです。
もっともオリジナルは青磁や染付が多く、この金襴のものは見たことがありません。
赤絵の上には魚の鱗が金で描かれ、２匹が珠を争う姿を絵付けで美味く表現しています。
ちなみに木魚の原型は黄檗山萬福寺などの禅寺で今でも使われている魚板、魚鼓です。魚の形をしているのは、魚は日夜を問わず目を閉じないことから、修行に精進することの象徴であったためなんだそうです。
内側は白一色。鈴の形をした中は空洞ですが、本物のように叩くものではありません。
裏には昭阿弥と名。
追善や盆・彼岸・法要のお茶会にふさわしいと思われます。