清水焼の珍しい結晶釉の菓子鉢です。

色々な清水焼京焼の窯元があるのですが、問屋さんから仕入れる器の窯元さんはほとんど知識がありません。この結晶釉の菓子器もそんな器の一つです。

独特の光彩が特徴の結晶釉は作家さんによっても色々な呼び名を付けておられ、結晶釉にもチタン、コバルト、マンガン、亜鉛など様々な種類があります。

この結晶釉ですが、油滴天目などと同様、窯を切ってから少し温度が下がった段階で引っぱると結晶の粒が大きくなりますが、結晶の基となる原料が大量に含まれると非常に流動性の高いのでロスや高く、再現性が低いのです。

それゆえ私の知る限り数件の窯元しか焼いておらない希少性の高い器となっています。

むかし、ＮＨＫのやきもの探訪で北海道の作家が雪の結晶になぞらえて作っている過程を公開していましたが、デジタルの時代になった今、ぜひ、再放送してもらいたいものです。

薄手の素地の縁は輪花といって花の形になるように切り欠いています。

流下して池のようになった釉だまりに結晶は集中するので、見込み中心の景色は特別大きな結晶がでています。

結晶釉の菓子鉢の外側です。外側は流れやすい結晶釉をそのまま使うと棚板とくっつくため、別の青い瑠璃色の釉薬を掛けています。

拡大してみました。

釉中に見られる小さな黒い粒々が外側の見所です。通常、釉薬はポットミルといって白い筒状の物に入れてごろんごろんと原料を細かく擦るのすが、その時間が短いとこういった雰囲気になります。

広い高台の中にまでルリ釉はかかっています。

内側の結晶の花と外側の鮮やかなブルーのコントラストが美しい結晶釉の菓子鉢です。

寸法　直径20cm 高さ9cm 重さ630g 木箱付