清水焼の干支猪の香合です。煎茶道具などを作っておられる高野昭阿弥作の物です。主に赤や黄色と色絵を使った正方形の形状にはイノシシが乗っています。
イノシシをアップで撮ってみました。座り込んだイノシシ全体を朱色に塗り込め、毛先や目まできちんと描き分けられています。最後に牙や耳に金を使っているので全体が引き締まって見えます。
こちらがイノシシの表情です。廻りには松や岩石を配し、細部にまで神経が行き届いて描かれてるのが解ります。
側面の絵付けです。桔梗や梅、菊など日本を代表する草花が窓に描かれています。また窓と窓とのつなぎ目の祥瑞にも染付と色絵を併用したりするところがこの窯の特徴でもあります。
香合ですのでもちろん甲と乙に分けることが出来、内部は施釉、ずり落ちないように浅めのキーがついています。
上下共に裏返してみました。白い磁肌は微妙に凹凸があり、型物香合としての味わいがあります。
毎年この窯の干支の香合は精緻な絵付けと意匠が面白いので、楽しみに拝見しています。ちなみに今年のいのしし香合は種類を例年より減らした代わりに絵手間を増やして品質を上げたとのことです。（作者談）



陶歴　高野昭阿弥

昭和５年創業の初代昭阿弥の許で仕事を覚える
平成５年２代目昭阿弥となる
主に磁器による抹茶、煎茶道具の染付、祥瑞、色絵、交趾などを作る
昭和５５年初代と共に５０周年記念展を催す
黄檗陶匠
工房は京都市東山
京都市生まれ