五条坂の窯元土山松泉作の染付山水湯呑みです。
この湯呑みの絵柄は私が最も好きなデザイン、山水模様です。青と白の清水焼伝統の青華の器も最近の土物志向で窯元も数も減ってきました。
祥瑞ならまだしも山水となると技術も高度になるため、写真のような良品と思える物は更に少ないです。
この山水柄の湯呑みの特徴はごろんとした碁笥底の丸型、通称、げんこつ湯呑みです。
このげんこつという名前は私ではなく、窯元さんが付けた形状の呼び名です。丸っこい作りに芋むきしたような削ぎ跡が随所に見られる所以で、一見、手びねりの磁器のようにも思わせます。
手に持ってみました。微妙な湯呑みの表面の凹凸が手に馴染みます。骨太のこういった形状には花柄よりも男性好みの山水の絵柄がよく似合います。
湯呑み内側の景色です。ぼこぼこした凹凸が内側からもうかがえます。煎茶、緑茶など色を愛でるお茶には清水焼の磁器の白さが良く合います。
また飲み口に巻かれた黄土(鉄)は上手の染付磁器に多い仕上げで、その幅の太さからこの湯呑みの厚みが伝わってきます。
高台の裏側、糸尻の部分です。目焼きになっているため、総釉です。これだと塗の御膳を一切傷つけません。
平安松泉。平安とは京都で焼かれたことの証明で、松泉は窯元名です。ここに清水焼とか書いてあるのは清水焼ではありませんのでご注意下さい。
この清水焼らしい伝統の山水湯呑みは特に年配の男性へのプレゼントに好適品です。
土山松泉 陶歴
昭和8年 初代 恭泉の四男として生る
昭和28年 京都市立伏見高等学校窯業科卒業
昭和30年 二代目久宝に師事
昭和33年 京都府陶磁器青年部作陶展に出品し市長賞 受賞
昭和39年 独立して紫野、高桐院住職義山師より松泉と命名され以後茶道具を志す
昭和51年 第三回京都府伝統工芸技術コンクールに出品し知事より優賞を受賞
昭和52年 第四回京都府伝統工芸技術コンクールに出品し知事より優賞を受賞
昭和53年 第五回京都府伝統工芸技術コンクールに出品し知事より優賞を受賞
昭和55年 優賞を三回受賞につき、以後毎年工芸産業技術コンクールに招待出品
昭和59年 第六回京焼清水焼展に出品し奨励賞を受賞
昭和60年 第七回京焼清水焼展に出品しKBS京都賞を受賞
昭和61年 第八回京焼清水焼展に出品し奨励賞を受賞
昭和62年 第九回京焼清水焼展に出品し奨励賞を受賞
平成元年 第十一回京焼清水焼展に出品し伝統的工芸品産業技術振興協会会長賞を受賞
平成二年 京都高島屋にて個展
平成二年 第十二回京焼清水焼展に出品し京都信用金庫理事長賞を受賞
平成四年 伝統工芸士に認定
平成五年 第十五回京焼清水焼展に出品し平安建都千二百年記念協会会長賞を受賞
平成六年 第十六回京焼清水焼展に出品し京都銀行頭取賞を受賞
平成八年 第十八回京焼清水焼展に出品し京都陶磁器協会理事長賞を受賞
平成十年 第二十回京焼清水焼展に出品し伝統的工芸品産業技術振興会会長賞を受賞
平成十年 京都府伝統産業優秀技術者(京の名工)として知事より表彰される
平成十年 第一回日本伝統工芸士会作品展に入賞
平成十一年 沼津御用邸記念公園東附属邸に茶道具を寄贈し沼津市長より感謝状を頂く
平成十二年 第二十二回京焼清水焼展に出品し、京都市観光協会会長賞を受賞
平成十三年 第二十三回京焼清水焼展に出品し、京都陶磁器卸協同組合理事長賞を受賞
平成十四年 第二十四回京焼清水焼展に出品し、京都商工会議所会頭賞を受賞
平成十六年 秋の叙勲 天皇陛下より瑞宝単光章を賜る
現在 京都の陶芸の流れを研究し特に古染付、祥瑞、赤絵等磁器の伝統技術の手法に力を入れ茶道の道具類と懐石料理の高級食器類を得意の秘技とする様、努力し制作に専念す。
伝統工芸士 土山 松泉