清水焼の楽焼窯元伊東桂楽作の人気の香合です。

形は黒牛が俵三俵背負っている有名な郷土玩具、張り子の俵牛の形を模しています。京都では伏見人形でも有名ですが、豊作祈願の俵牛は明治から昭和にかけて主に東で作られました。

俵牛を飾る由来は、東北地方で豊作の年に牛の背中に錦の鞍を置き、三俵の米俵を積んで時の帝に献上する習俗があり、毎年秋の刈入れ前に藁で牛を作り神に供えて豊作を祈るようになったのがはじまりだといわれています。
おとぎの国の王様　武井武雄も日本の郷土玩具で俵牛に勝る物無しといった俵牛ですが、牛にちなんだ郷土玩具はそのほかにも多く、痘瘡よけのまじないや縁起物としての性格をもつ赤べこ、学問の神、菅原道真がウシに乗ることから、学業成就を祈願をする牛乗り天神などもあります。
本作は楽焼で作られており、土の暖かみを活かした柔らかい作りは木訥とした素朴な牛を表現するにはピッタリです。

写真は正面から写した牛さんの顔です。こういった動物の香合は表情の再現が最も難しいとされています。目が大きくにっこり笑うかのような柔和な表情から作り手の優しさが伝わってきます。
香合の裏側を撮影しました。すべて楽透明釉が施釉されているので光沢があります。
失礼します。牛のお尻から撮影しました。黒や黄、足先の青、紅い紐などはすべて下絵付けです。角など金の箇所だけが上絵で仕上げてあります。
のっそりのっそりと牛が俵を背負って歩く様子が伝わってきそうなかわいらしい作品です。
古くから日本各地の多くの人々に親しまれてきた俵牛の香合を紹介しました。


ごあいさつ
このたびは、私の作品をお求め頂きありがとうございます。
楽焼は、利休が“侘びの茶の湯”に適う茶碗として、 長次郎によってつくられた日本独創の、四百有余年の伝統をもつやきもの であります。
私は初代　崇白、崇楽に師事し、桂窯で茶の湯のやきもの一筋に三十余年 打ち込んでまいりました。
わび、さびにかなう作品をと念じ、研鑚して参りたく思っておりますので 今後共お引立て下さいますようお願い申し上げます。
京・洛西　桂窯　

伊東　桂楽